一介の大学の美術教授であるジョナサン・ヘムロック(クリント・イーストウッド)はアルピニストで絵画をこよなく愛する美術品収集家、そして元CIAのエージェント、腕利きの殺し屋だった。
ある日、スイスのチューリヒで1人のCIAエージェントが殺され、重要なマイクロフィルムが奪われる。犯人は2人で、その内の1人はチューリヒにいる事が分かった。報復処置のためCIAのボス、ドラゴンに呼び出されたジョナサンは、その1人を条件付きで始末する事で、もう完全に引退する事をCIAに告げる。その条件とは、多額の報奨金とブラック・マーケットに流れてきた「ピサロ」の絵だった。チューリヒで任務を遂行したジョナサンは帰りの飛行機の中で黒人スチュワーデス、ジェマイマ(ボネッタ・マギー)と出会い意気投合、夜を共にする。しかし、彼女はCIAの運び屋で、ジョナサンの金庫から報奨金を盗み出す。
憤怒したジョナサンはCIAに乗り込むが、そこでドラゴンから殺されたCIAエージェントが命の恩人でもある友人、アンディ・バックだった事を知らされたジョナサンは、もう1人の始末も最後の仕事として引き受ける。ターゲットであるもう1人の犯人は、名前、顔、国籍など一切不明。ただ、アルピニストでその年の夏、アイガーの北壁に国際登山隊の一員として登る事だけが分かっていた。アルピニストでもあるジョナサンは、その一員として死の壁アイガー北壁を登る事となったのだった。彼は鈍った体を鍛え直すため、登山仲間のベン・ボウマン(ジョージ・ケネディ)の経営する登山学校へ行き、訓練を開始した。アイガー国際登山隊のメンバーは、ジョナサンとドイツ人のフライタグ(ライナー・ショーン)、オーストリア人のマイヤー(マイケル・グリム)、そしてフランス人のモンテーン(ジャン・ピエール・ベルナール)の合わせて4人。アイガー北壁登頂当日になっても、依然ターゲットが誰なのかは分からないままジョナサンは銃を持って北壁に登る。
果たしてターゲットはいったい誰なのか?そして、起こるべくして事故は起こった・・・
冒頭から最後のどんでん返しに至るまでのスリルとサスペンスがたまらない。話の本筋から伏線まで、十分に楽しめ面白い。最近の映画のようにテンポ良くはないのだが、ゆっくりサスペンスを楽しむのも良いのではないだろうか。主役であるクリント・イーストウッドが監督も務め、監督第2作目としての成功も収めている。加えて彼自身、スタントマンを使わずに登山シーンを撮影していることが最大の見所なのかもしれない。イーストウッドとジョージ・ケネディが訓練中に登る、立てた鉛筆のようなトーテム・ポールは高さが183m、頂上の面積が4平方メートルしかないという。イーストウッドお得意の空撮にも磨きがかかる。音楽は「スター・ウォーズ」や「インディー・ジョーンズ」でお馴染みのジョン・ウィリアムス。
スイス好きの私には、ジョナサンがアイガーに登る前にクライネ・シャイデックのホテルに滞在しているシーンとか、チューリヒの街並み、そして何よりもアイガーが画面いっぱいに映し出される登山シーンが見所。ちなみに、クリント・イーストウッドはグリンデルワルトの5つ星ホテル、レギーナに泊まった事があるらしいので、この撮影の時に泊まったのだろう。
1975年度作品。 |